2022/07/01 夜

もともと私は嘘をつくのが苦手だし、もしかしたらそれは嘘をつかれるのがいやだからという理由もあるかもしれない。でも何年もいくつもの嘘でごまかされて、約束を破られて、期待をことごとく裏切られて、それなら私も!!!!嘘の王者にトライ。

でもこの前、緊急搬送されたとき、待ち時間に男の看護師さんにいろいろ話したら「君は八方美人だよ」と指をさされましたねえ。

とにかく嘘八百というわけで、午後6時すぎ、会いたいなら会おうと言ったら会うと言うから公園で会い、ブランコにのりながら話をしたのですが、話しているうちに悪知恵が働いて「本当はうつ病ではなく、体の病気だった。しかも短命」という嘘を思いつきました。かわいくて儚い女の子☆というきれいな思い出にしたいから……本当はパーソナリティ障害とか診断されてたけどふざけんなよ信じねえからな。彼女の鎧の敬語がなぜか消えているというのにも調子付いて「漕げないから背中押してよ」とか、「人生は短いしねえ」とか、いや長くてしんどいよと言うから「がんばれー」と言ったり、「思っていた病気と違った」とちょっとがっかりした風に言い、病名聞いたりしていいの?という質問に「あー……プライバシーの……」と全体的に含みをもたせました。そして謎の自信。「夕日に照らされた私かわいい?」とか言って。彼女は私をせつなそうに見ながら、かわいい、かわいい、と呟いていましたが。仕事はしばらく休むと話したけど、まあ嘘じゃないよね。他愛もない話をして、本来、彼女は30分と決めていたくせに時計を見ないのでてきとうに私が「もう帰ろうか」と言い、無駄に足を引きずりながらふたたび儚い女の子を演出。それからアパートの部屋の階段を登る最中、彼女の耳に両手をあてて「キスしたいね」

「それはずるい😠」と彼女は言ったけど、魔性の女返しだし。魅了してから消えてやる。

で、ブランコの鎖を腕で引っ張っていたせいか、リスカキズパワーパッドを貼っていたところから血が出て傷口が開いていたので、彼女に持っているか聞いたところあると言い、こちらの部屋に来たところを遭遇。思いきって抱きしめると彼女は泣き、私は背中を叩きながら「泣かせちゃったね、ごめんね」とよしよし。そして自分の毛布がそっちにあるからほしい、と彼女が言うので部屋に戻って向こうへ持っていき、行儀よくインターホンを押して、「入ってもいい?」と流れに任せて侵入。新しいキズパワーパッドを貼ったあと、今度はバッグハグ。「いい匂い、安心するね。いやだったら言ってね。そういうことしないから」「いやなわけないじゃない」そして前を向かせて強く抱きしめる。彼女、ぼろぼろ泣く。それから顔が近くなり、「本心を見つける旅がんばってね」と言うと「離れられなくなっちゃうよ」と言うので、それなら、という感じで身を離すとギュッと力をこめる。「キ〜スは我慢〜」と歌いながら天使のような表情でキス待ちの顔(???????????)をすると、彼女の心は乱れ、あっけなく軽いキスしました。やだぁ、ロマンチック……(????????)そして玄関前でふたたび天使の顔をし、平然と退散。

 

さて、私までよくわからなくなってきましたねえ。まあがんばって離れましょう。