2022/07/05 夜

昼までは元気だったし仕事の意欲もそれなりにあった。昼から仕事だった。それでみんなに謝罪もしたいし、休憩中に行って、パートさんたちに会ったらみんなやさしい。お世話になりました、支えてもらいましたと言うと「なんもだ〜」と笑ってくれる。そんな人たちなかなかいない。私を思って深入りせず、別の話題でにぎやかにしてくれるのも。冷凍庫にアイスがあるからとみんなでチューペットを食べた。そういう青春だってある。それから別のところで休憩していたSさんが来て、私にとくに見向きもせず、出ていき歩いていたところで「前もって変わったところを説明します」と言う。云々。業者に何か言われたわけでもないのに選果を厳しくしているので、それは確認しないとわからない、そこまで厳しくすると数が出てこない云々と意見をしていると、親方の奥さんが私を呼び、「出れるようになったの?みんなに謝ったの?迷惑をかけたんだから、ちゃんと自分で言わないと」と言う。はい、と言いながら気分はどん底に沈み、わかってるけど、わかってるけど、私はうつ病だし休んだ原因はとなりにいる人だしあなたのせいでもあるし、けじめとして早く出勤して謝りもしたのに、その場にあなたがいなかっただけで根拠もないのに私がみんなに何も言っていないとでも思うのか……いろいろ考えるまもなく気力が尽きて、「ごめん、薬飲んでくる」と言い残し、走って休憩室に戻った。Sさんは何も言わなかった。どうせ彼女には何もわからないのだろうし、何もしてくれない。そもそも期待はしていない。ジアゼパムを1錠飲み、机にうつぶせて思考を抑えながら抑えられず、できるだけ感情も抑えたかったけど涙が出てきた。親方の息子が来たので「薬を飲んで、休ませてもらってます」と言った。「無理になったらすぐ帰りな」と言われた。こんどは親方が来て、私はまたジアゼパムを飲んだ。彼の奥さんも別にいじわるで言ってるわけではないことはわかっている。でもあの人は私がパニックになって家から農園までぜいぜい走ってきたとき、Sさんはどこにいるのか聞くと「千葉に帰ったよ」と平然と言った。私にはとてもわからない。関西訛りだから言い方がつんけんどんとか、裏表ないとか、そういうことを鑑みてもわからない。くそくそくそくそ、てめえも鬱病になって死ね、と思う。誰にも言わないけど。雰囲気も出さないけど。私はあなたのしたことを絶対にゆるさないし忘れない。

親方に、私は仕事をする気があるし、力になりたいけど、もう迷惑をかけるだけだと思うからけじめとしてやめたい、と言った。Sさんとうまくいってると言ってたやんと聞かれたときには、今も振り回されてるし耐えている、もう別れたいと答えた。それは2人のことだし介入しないけど、と言われても。介入してパニックにさせて救急搬送させたのは誰なんだ。それくらい聞けよ。中立にこだわらないでそれはひどいと言えよ、このやろうが。夕方に内緒で食事に行こうと誘われて、店を予約するよう言われたけど定休日だったし、疲れたのであとから断った。今夜は温泉に来た。2人で買った回数券を消費するためにと、フリーWi-Fiを使いたいのと、1人になりたいからと、純粋に温泉に浸かりたかったから。吹っ切れたといえば吹っ切れたし、顔を見て近づいたならまた心が動くかもしれない。でも今ははっきり会いたくない。温泉に来る前、もう一度できるだけ彼女のものをあちらに移し、自分のものを取り返してきた。荷造りもしたし、本も段ボールに入れたりした。エルヴィス・プレスリーをCDコンポで聴きながらノリノリでやっていたら2時間経っていた。早くどこかへ行ってしまいたい。親方が僕の言いたいことを伝えていなかったから話したい、と言ってくる。いつも自分の話ばかりしてるくせに。最近は「まあがんばり、あ、今はがんばれって言ったらあかんのか…」と何度も言ってくる。学べよ。別にいいけど、後半は独り言だろ、胸のうちに秘めてくれよ。ちなみにSさんも休んだくせに、私をぼろぼろにしたくせに、とくに謝っていないという。そして彼女には、私が薬で体調を崩したと話したらしい。それは聞いてはいないけど、Sさんが送ってきたメッセージから読み取るに親方が勝手にそう言ったんだろう。ふざけんなよ。今は薬じゃねえよ、人なんだよ。カッとならずにひとりになって、自傷も暴れもしない私を褒めろよ。みんなわからねーよ。それもわかってる、冷静にそう思う。自分は自分で守るしかない。それで環境を変えなくなったのだ。